累進課税とは

 日本を始め多くの国では所得に対して一定の割合で税金を納めることが国民の義務となっています。その金額は得た収入によって変わりますが、日本の場合には得た収入が多くなるほど税金を徴収する割合が大きくなると言う累進課税制度が導入されているのが特徴です。このページではこの累進課税制度の概要を説明するとともに、一見不公平とも思えるこの制度がなぜ導入されているのかについても詳しく説明します。 

累進課税制度の基本は、日本国憲法ですべての国民が平等で一定の水準の豊かな暮らしをすることができることが定められていることによるものです。そのため多くの人が平等に収入を得ることができ、また税金を納めることで様々な国の機能が安定することが求められています。その中でより多くのお金を稼ぐことができる人ほど多くの税金を納め、なかなか上手に稼ぐことができない人は自分が必要なお金が残るような税金の納め方をするというのが累進課税制度の基本的な考え方となっているのです。 

特に収入が多い人はそれだけ手元にお金を残すことができるので、非常に裕福な生活をすることができます。万が一収入が少ない人と多い人が同じ税率であった場合には、収入の少ない人に必要なお金を残すような税率になってしまい、高所得者は余分に手元に資金が残ることになるため、より豊かなぜいたくな生活を送ろうとする可能性が高くなってしまいます。その結果、日本全体の平均的な生活様式が崩れてしまうといった懸念があるのです。 

さらに、低所得者の水準に税率を合わせて一律にした場合には、国を運営するために必要なお金を集めることができないと言う懸念も生まれてしまいます。現代の国のお金の使い方は様々な面で疑問が残る点もありますが、1つの国を運営するためには莫大なお金がかかるため、できるだけ多くの資金を集めておくことも重要なポイントとなります。これらの相反する課題を解決するために最も効果的な方法が、累進課税制度となっているのです。 

最近では高所得者が様々な手法を使って節税を行うことも少なくありません。そのため税金の細かな制度は変化し必ずしも当初の目的通りに機能しているかどうかは非常に疑問な点もありますが、高所得者ほどより多くの割合で税金を納めなければならないと言う仕組みにより国を運営するための必要な資金を得ることができていると言うものとなっており、またこれにより低所得者や生活保護を受けなければならない生活弱者の保障を行っているというのが実態です。